2010年06月15日

W杯は大丈夫!? 元駐在員が教える南アフリカの治安状況(Business Media 誠)

 いよいよサッカーワールドカップ南アフリカ大会が、6月11日に開幕します。筆者は、1993年から1998年の約5年間、商社の駐在員として南アフリカに駐在していました。南アフリカの治安の悪さについては、マスコミによって、強盗傷害事件が1日あたり1500件だとか、殺人事件が1日あたり50件だとか報じられていますが、数字だけ聞いてもあまりピンとこないのではないでしょうか?

 そこで、南アフリカの治安の悪さを少しでも実感していただき、安全な南アフリカの旅を満喫いただくために、筆者の体験をもとにいくつかの注意点をお話ししようと思います。治安はお金で買うことができますし、注意すれば災難を防ぐことも可能なので、そこさえ守れば楽しく観戦できると思います。

注意1:タクシーには乗るな

 筆者は駐在期間中の5年間、1度もタクシーには乗りませんでした。よく現地の連中から、「タクシーの運転手は、強盗と一緒だ」と言われていました。運転手の中には、銃を所持している連中もおり、特にヨハネスブルグ空港などから安易に乗ってしまうと、黙って黒人居住区に連れて行かれて、強盗や盗難などの災難に合う確率が非常に高いです。

 筆者は世界の多くの国を旅した経験がありますが、危ないと言われているブラジルでさえ、サンパウロ空港からはタクシーで市内に入ることが出来ました。空港からタクシーに乗らなかった国は、南アフリカ以外記憶がありません。

注意2:レンタカーは借りるな

 駐在員はどこの会社でも、基本的には会社が雇った黒人ドライバーに運転してもらって通勤しています。ただ、慣れてくると自分で自家用車を運転するのですが、慣れないうちに南アフリカでクルマを運転することは非常に危険です。

 南アフリカの大都市の近郊には、アパルトヘイトの1つ、人種隔離政策の名残である黒人居住区という地域が存在しています。ヨハネスブルグの場合は、クルマで20分ほど走ったところにソエトと呼ばれる巨大黒人居住区があり、一説には200万〜300万人の黒人が住んでいると言われていますが、正確な人口は分かりません。

 この中の治安は特に良くないので、絶対に入りこまないように気を付けていたのですが、高速道路などの出口を間違って、誤ってソエトの中に迷い込んでしまったことがありました。幸い何事もなく脱出できたのですが、日本製のクルマで日本人が侵入してくること自体珍しいのでしょう。住人がだんだんぶらっと集まってきて、クルマを取り囲み始めた時は本当に恐ろしかったです。

 抜けるような青空、さわやかな空気に気を許して運転をしていると、知らない間に黒人居住区に迷い込んで、2度と出て来れないなどということにならないようにレンタカーはおやめ下さい。

注意3:赤信号で止まるな

 よく現地の白人からこう言われました。

 「夜は、たとえ赤信号でも交差点で停車してはいけない。クルマが来ない場合は無視して進むことだ」

 この理由は、交差点の草むらやビルの陰に隠れた賊が、赤信号で止まったクルマをターゲットに強盗や殺人を働くという事件が多発しているからなのです。ある駐在員仲間が赤信号で止まっていたら、突然助手席の窓ガラスが拳銃で粉々に割られ、割られたと思ったら、黒い手が伸びてきて助手席のシートにおいてあった財布入りのカバンと携帯電話をあっという間に持って行かれたという事件もありました。

注意4:街中は歩くな

 筆者は駐在期間中、一度も街を歩いたことがありません。ほとんどの駐在員もそうです。 

 なぜか?

 南アフリカは米国以上に銃社会です。 簡単な講習を受ければ誰でも銃を所持することができます。スーパーで1〜2万円も出せば、いい拳銃をすぐ買うことができます。

 銃を所持した強盗が街中をうろつきまわっている確率がとても高く、特に日本人はお金を持っていると思われているので、昼間であろうと、街中をのんきにスーツ姿なんかでぶらぶら歩いていると、あっというまにホールドアップに遭ってしまう危険性がとても高くなります。

 当時、筆者の会社の日本人駐在員は10数人いましたが、そのうち2人は護身用に自宅に銃を保管していました。筆者の白人女性秘書も、恋人が駐車場で強盗に会って、右足太ももを銃で撃たれ、重傷を負うという現場に遭遇してから、旅行に行く時は小さな拳銃をカバンに入れていくと言っていました。

 驚いたのは、街中の普通のファミリーレストランで、5〜6人の普通の白人家族が食事をしていたのですが、お父さんと思われる男性のジーパンのお尻のポケットから拳銃の柄の部分が少しだけのぞいていたのを見たことでした。

 移動は徒歩のような「線」で動くのではなく、必ずクルマで「点」と「点」を結ぶ形をとって移動してください。歩きたければ、ショッピングモールの中か、ゴルフ場だけにしたほうが身のためですよ。

注意5:電熱線と赤外線センサーで防御

 これは短期旅行者には関係ないかもしれませんが、駐在員の家はどのように強盗の侵入を防ごうとしているかお話ししましょう。

 日本でも警備会社と契約して、何かあったら警備員が駆け付けるというサービスがありますよね。基本はそれと同じなのですが、南アフリカの場合は、セキュリティレベルが各段に違うのです。

 まず、契約すると、部屋ごとに1つの赤外線センサーを設置してくれます。それと、家の敷地の外壁に上に、隙間なく電熱線を張り巡らします。侵入者がその電熱線に触れたり、部屋の中に侵入してきたりすると、たとえ真っ暗でも察知して、アラームが鳴り響き、自動的に警備会社に通報します。

 そうすると、警備会社からすぐ電話が来ます。ちなみにここでは、事前に合言葉を決めておきます。「OK.No problem」を3回繰り返したら「賊が横にいてまずい状況を表す」というように、警備会社と決めておくのです。ホールドアップの状態で電話に出た場合は、警備会社に「問題が起こっている」などと言えないからです。

 警備会社が問題を察知したら、契約によって7〜8分ほどで屈強な警備員2人が自宅に駆けつけ、塀を乗り越えて敷地に入って警備をしてくれます。1回だけメタボなおじさん警備員が来て、塀を乗り越えられないので助けてあげたこともありました。翌朝、警備会社に電話をして、「あんな警備員は替えてくれ!」とクレームを入れたのはもちろんです。

 警備員2人とも巨大な機関銃のようなものを持っている点が日本の警備会社と違う点です。強盗と出くわして銃撃戦になることはしょっちゅうらしく、警備員は大変な高給取りです。それでもなり手はなかなかいないようです。

注意6:ダウンタウンとヨハネスブルグ中央駅だけは近付くな

 ヨハネスブルグのかつての中心地、ダウンタウンは完全にスラム化しており、世界で一番危険な地域です。銃を振り回しながら、ふらついて近付いてくる男に出くわしたことがあります。

 また、南アフリカの周辺は、財政破たんした世界でも指折りの貧しい国に取り囲まれています。ヨハネスブルグ中央駅には、そういった近隣国家の貧しい住民が大挙して押し寄せて来て、そのまま駅で泊まり込んで生活しているのです。物珍しいからと、間違っても訪れたりしないことをお勧めします。

 以上、当時の治安状態をお話ししましたが、「今は当時よりもっと悪くなっている」と現地の友人から聞いています。治安というものは、お金で買うことができます。南アフリカで治安にお金をケチることは即、大切なわが身を危険にさらすことに直結するということをくれぐれもお忘れなく。

 それさえ忘れなければ、抜けるような美しい青空、さわやかな高原の空気、青く輝く大自然、すばらしいホスピタリティを持った純粋で明るい人々など、日本とは違った南アフリカの魅力を満喫できることでしょう。(三宅信一郎)

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posted by ハンザワ ケイジ at 16:04| Comment(24) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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